3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態とされています。他にも、本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態、と定義されています。便の回数は個人差があり1日3回から3日に1回までは正常とみてもいいのですが,1週間の便の回数が3回未満の人は便秘 といえます。また「便が硬い」「便が小さい」「いきんでも出にくい」「残便感がある」「指でかきだす」などの症状のうち2つ以上の症状が頻繁にある人も便 秘といえます。
不規則な食事・生活
食物繊維・水分・脂質などの摂取不足
低栄養
ビタミン欠乏症
・全身衰弱
・緊張・恐怖・悲しみなどの精神的要因
・神経障害
・浣腸や下痢の乱用
・体質
・職業性(便意があっても排便できない職業の人)
・便意を抑制する習慣
便秘の原因は、人によって異なります。分類すると、機能性便秘3種類と器質性便秘の計4種類に分けられます。症状に合った対処をするためにも、自分の便秘の種類を把握しておきましょう。
便が作られる過程や排便の仕組みに障害があるケース。
弛緩性便秘「大腸の運動が低下したために起こる便秘のこと。腸管の緊張が緩み、便を押し出すぜん動運動が十分に行われないため、大腸内に便がたまる。その結果、便から水分がなくなっていき、やがてカチカチに硬くなる。便秘の中で最も頻度が高い。」
痙攣性便秘「副交感神経が過度に興奮することによって腸管が緊張し、便がうまく運ばれず、うさぎのフンのようにコロコロとした便になる。精神的ストレスや過敏性腸症候群などが原因。」
直腸性便秘「便が直腸に到達しても排便のサインが起こらず、直腸に便が停滞してしまう状態のこと。排便を我慢することが原因となるほか、高齢者や寝たきりの人に多い。」
大腸の炎症やがん、手術後の癒着などが原因となって、消化管に通過障害が起こっているケース。血便、激しい腹痛、嘔吐などがあればすぐに病院へ行って診察を受けましょう。
そもそも、便意はどのようにして起こるのでしょうか。 私たちが食べたものは、胃や小腸で消化され、水分を多く含むドロドロの液状で大腸に入ります。そこでゆっくりと水分が吸収されることで固形化し、次第に便の形になって肛門へ送られます。この時、便が何日間も腸の中にあると、便の水分が腸壁に過剰に吸収されてしまうため、便がカチカチの状態になって、硬く小さい状態になります。これが「弛緩性便秘」の状態です。
では、便が肛門に到達すると、どのようにして便意が起こるのでしょうか? 腸の動きは、自律神経によって支配されています。大腸はぜん動運動を起こすことによって、便を体外へ送り出すのですが、このぜん動運動が始まるきっかけとなるのは、私たちが何かを食べたり、飲んだりして胃に物が入ったとき。つまり、私たちが食事をして、胃に物が入ると、その刺激をきっかけに大腸のぜん動運動が始まるのです。これを、「胃・結腸反射」と呼びます。
そして、大腸の中のS字結腸に届いた便は、次に直腸へ送られます。すると、便が直腸の壁に押し付けられ、その刺激によって、肛門にある内肛門括約筋が緩みます。同時に、大脳に「便がきた」というサインが伝わり、大脳が「便を出しなさい」という指示を出します。排便する準備ができると、内肛門括約筋の外側にある外肛門括約筋が緩み、排便します。これが、便意が起こって排便するまでの仕組みです。
健康な人の場合、便の80%は水分で出来ています。そして、残り20%のうち、1/3が食べカス、1/3が生きた腸内細菌、残りの1/3が腸粘膜の剥がれ落ちたものです。このうち、大切なのは便に含まれる腸内細菌。わずか(乾燥した状態で)1gの便に、約1兆個もの腸内細菌が含まれていると言われています。
よく、「腸内細菌を増やしましょう」と言われますよね。なぜ、腸内細菌が大切かというと、腸内の細菌が体の健康に大きく貢献しているからです。腸内細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分けられると考えられています。
この3種類は基本的に、 (1)善玉菌 悪玉菌の侵入や増殖を防いだり、腸の運動を促したりする。 (2)悪玉菌 腸内の内容物を腐らせ、有毒物質を作る。 (3)日和見菌 善玉菌が優勢の時は善玉菌の味方を、反対に、悪玉菌が優勢の時は悪玉菌の味方をする。と言われています。
健康な人の腸内は、腸内の菌バランスが一定の条件で保たれています。
便には、こうした腸内細菌が生きたまま含まれていますから、便を見ればその人の健康状態がわかるのです。理想の便は、バナナのような形状。量はバナナ2〜3本分くらいで、臭いはきつくなく、硬さは練り歯磨き程度。いきむことなく気持ちよく出て、水に浮くくらいの軽さがベストとされています。こうした状態の便が出ているということは、腸の中で菌のバランスが保たれていて、健康である証拠と言えます。
弛緩性便秘の予防や治療には、規則正しい日常生活・食事・排便・適度な運動を心がけましょう。
これらのポイントに留意するとともに、水分を十分に補給しましょう。特に朝食を欠食しないようにして規則正しい食生活を心がけましょう。それから薬物に頼らず、栄養食事療法・運動療法を根気強く続けて自然な排便リズムを回復することが理想的なので、朝食後など決まった時間での排便を、たとえ便意がなくても毎日続けて習慣化させましょう。
痙攣性便秘は、腸管の自律神経失調によりおこります。大腸の痙攣性収縮によって便の輸送が障害されます。大部分は過敏性腸症候群です。精神的な影響を受けやすく、消化器症状以外の不定愁訴や自律神経失調症を伴うことがよく見られます。 予防や治療には、規則正しい日常生活・食生活を心がけましょう。また、過労・ストレスが原因であることも多いため、それらの解消に努めましょう。ただし運動は避け、休養は十分にとりましょう。
直腸性便秘は、摘便・坐薬・浣腸などにより便塊を除去したあと、弛緩性便秘と同様の対応をとりましょう。
器質性便秘の場合は、結腸癌・直腸癌・イレウスなどの腸管における気質的な疾患の根本的な治療が必要です。
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